ヒューマンエラーとリスクマネジメント

 リスクマネジメントの目的は活動の進捗を不確かにする要因の排除であり、進捗が遅れる原因の多くはヒューマンファクターを元にしたヒューマンエラーであり、活動の進捗遅れを引き起こす最大の要因は人にあります。そっこで、リスク管理では事故やヒューマンエラーを回避ことが目標となります。大規模な事故が発生する前に小さな事件(incident:インシデント)が多数存在します。例えば1件の重大災害の裏には29件の軽災害があり、そしてその背景には300件のヒヤリハットがあると言われており、1:29:300の関係をハインリッヒの法則と呼ばれます(図1参照)。つまり300回ヒヤリ、ハットがあれば1回の重大災害が発生すると予想される。ヒヤリハットとはヒヤリやハットした出来事のことです。よって大規模な事故を防ぐためにはインシデント管理が必要となります。インシデント管理は工場ではヒヤリハット報告と呼ばれ、病院ではインシデント報告として問題の発見、登録、教育がなされています。企業内の危険予知と危険回避教育はKY活動と呼ばれ教育が実施されています。KY活動では危険予知、危険回避が重要です。KYでは各人の経験値や暗黙知を形式知としてチーム員に伝える活動がなされています。ヒューマンエラーはヒューマンファクターが要因であり、ヒューマンエラーはを含む事故が起きる状況は図2に示すSHELモデルがあります。SHELLモデルは事故が起きるメカニズムを工学的にモデル化したものであり、事故が起きるメカニズムを解析する工学をヒューマンファクター工学と呼びます。ヒューマンファクター工学は事故が起きるメカニズムの解析と事故の低減を目標としています。ヒューマンファクター工学での中心はヒューマンファクター(図3参照)であり、ヒューマンエラーの低減が目標です。

図1 事故とインシデント
図2 SHELモデル
図3 ヒューマンファクター