1.インシデント
リスクマネジメントの目的は組織や企業の業務や活動を止めないことです。そこで、組織や企業の業務や活動が停止する理由として、トラブルとインシデントがあります。組織の活動そのものが止まる状況がトラブルや事故で、活動そのものは止まらないまでも活動の効率が低下したり、トラブルを回避して活動が停止しなかった場合がインシデントです。インシデントにはトラブル発現が予測されたため、トラブル発現を意識して回避する場合と無意識のうちに回避した場合があります。
2.モニタリング
リスク管理表に記入されたリスク発現の早期検知を行うために業務の進行状況をモニタリングすることが必要となります。リスク管理表にはリスクとトリガが記述されます。トリガとは当該リスクの発現が予期される状況のことで、例えばトリガにはコンピュータのハードディスクの故障が予見される場合の異音や行程遅れが予見される場合の作業遅れがあります。そこで、リスク発現の早期検知を行うためにモニタリングにより、トリガの発現を観察することが必要となります。そして、モニタリングを行う項目として作業の生産性、就労時間、ガントチャート上のマイルスストーン達成数、エラー発生数、手戻り発生数、スタッフへのヒアリングがあります。しかし、モニタリング対象を数値化することは難しく、モニタリングは担当スタッフへのヒアリングが主となり、人は不確実であるため、モニタリングの精度向上が課題となります。以下にモニタリングを含む、リスクマネジメントの例を示します。
(リスクマネジメントの例)
ある工場では年間の償却費が1台1000万円の機械を導入している。機械の故障率は0.1件/月であり、機械が故障すると3日間程、修理と調整にかかる。機械が故障した場合の損害は1日当たり50万円である。ただし、機械の保守に入ると2日で機械故障は復旧する、保守費は1年間で20万円である。ただし機械故障は年間に最大1回とする。